精神医学65巻5号

2023年05月発行

記事購入ページに移動

増大号特集 いま，知っておきたい発達障害 Q＆A 98 4 診断

Q40 若年性認知症と発達障害の鑑別のポイントを教えてください

著者： 佐々木博之¹

所属機関： ¹熊本大学病院神経精神科

ページ範囲：P.645 - P.647

A すべての若年性認知症と発達障害が鑑別しにくいわけではなく，我々の研究では，早発性アルツハイマー型認知症（EOAD），遅発顕在型の注意欠如・多動症（late-manifestation of ADHD）の2つが鑑別しにくい場合があるという結果でした。鑑別のポイントは，物忘れが「エピソードの欠落」なのか「不注意由来」かという点，「発症」なのか「閾値以下だったものの顕在化」なのかという点，髄液検査やアミロイドPETで「陽性」か「陰性」かという点などです。

参考文献

1）Sasaki H, Jono T, Fukuhara R, et al：Late-manifestation of attention-deficit/ hyperactivity disorder in older adults：an observational study. BMC Psychiatry 22：354, 2022

2）Sasaki H, Jono T, Fukuhara R, et al：Late-onset attention-deficit/hyperactivity disorder as a differential diagnosis of dementia：a case report. BMC Psychiatry 20：550, 2020