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文献概要
増大号特集 いま,知っておきたい発達障害 Q&A 98 5 鑑別と併存
Q47 発達障害では,解離症やフラッシュバックのように特異な症状をしばしば認めることがありますが,説明してください
著者: 杉山登志郎1
所属機関: 1福井大学子どものこころの発達研究センター
ページ範囲:P.666 - P.668
A 自閉スペクトラム症(ASD)の児童,成人がはるか昔のことを突然に持ち出し,あたかもつい先ほどのことのように扱うことがあり,タイムスリップ現象と呼ばれています。一般的なフラッシュバックと異なるのは,明らかに楽しい出来事にも起きることです。また解離症がみられることもまれではなく,多重人格も認められます。この場合,トラウマなしでも起きることや,一方,子ども虐待がある場合には,30〜50人という多人数の部分人格が生じていることもあります。
参考文献
1)綾屋紗月,熊谷晋一郎:発達障害当事者研究—ゆっくりていねいにつながりたい.医学書院,2008
1)杉山登志郎:自閉症に見られる特異な記憶想起現象—自閉症のtime slip現象.精神経誌 96:281-297, 1994
2)杉山登志郎,海野千畝子,浅井朋子:高機能広汎性発達障害にみられる解離性障害の臨床的検討.小児の精神と神経 43:113-120, 2003
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