文献詳細
文献概要
増大号特集 いま,知っておきたい発達障害 Q&A 98 5 鑑別と併存
Q60 発達障害と犯罪とはどのような関係がありますか?
著者: 松田文雄1
所属機関: 1医療法人翠星会松田病院
ページ範囲:P.705 - P.708
文献購入ページに移動A 発達障害のある人は犯罪の加害者になりやすいという傾向はありません。加害者ではなく,圧倒的に犯罪被害者となることが多いと言われています。重大犯罪に関する新聞報道などでは,加害者の精神鑑定の結果,発達障害の診断名が記事に載ることで,「発達障害のある人は犯罪を起こしやすい」という誤解を招くことにつながっているものと思われます。一方,犯罪の被害者が発達障害であったという報道は相模原障害者施設殺傷事件のようにセンセーショナルな事件以外はほとんどなく,被害者となるのはきわめてまれなことであるかのような誤解につながっています。
参考文献
1)松田文雄:青少年犯罪や暴力と行為障害.精神療法27:42-52, 2001
2)松田文雄:青少年犯罪と精神科医療.精神医学43:1203-1208, 2001
3)松田文雄:成人期のアスペルガー症候群の反社会的行動に対する地域精神保健のかかわり—精神科医療と司法との連携.精神医学50:771-775, 2008
4)松田文雄:司法と精神科医療の連携から—自閉症スペクトラム障害と反社会的行動Ⅱ.精神療法39:353-357, 2013
掲載誌情報