精神医学65巻5号

2023年05月発行

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増大号特集 いま，知っておきたい発達障害 Q＆A 98 6 治療

Q70 学習障害（LD）への対応にはどのようなものがありますか？

著者： 廣瀬翔平¹² 辻井正次¹²

所属機関： ¹中京大学現代社会学部 ²特定非営利活動法人アスペ・エルデの会

ページ範囲：P.752 - P.755

A 実際の国語や算数などの教科における学習の困難を把握した上で，家庭学習をめぐる親子での悪循環を減らす保護者への助言を行うとともに，教育的支援（特別支援教育に基づく合理的配慮）の提供の必要性に関する診断書や意見書を学校宛に書き，具体的な細かな指導を通級指導教室などで行います。言語聴覚士（ST）による言語情報処理を踏まえた指導や，手先の不器用さが絡んだ場合の作業療法士（OT）による指導などを行う可能性もあります。

参考文献

1）日本精神神経学会（日本語版用語監修），髙橋三郎，大野 裕（監訳）：DSM-5精神疾患の診断・統計マニュアル．医学書院，2014

2）高橋知音，三谷絵音：読み書き困難の支援につなげる大学生の読字・書字アセスメント—読字・書字課題RaWFと読み書き支援ニーズ尺度RaWSN．金子書房，2022

3）平林ルミ：特別支援教育における合理的配慮の動向と課題—学習障害のある子どもにおけるICT活用の現状に焦点をあてて．教育心理学年報 56：113-121, 2017

4）Grigorenko EL, Compton DL, Fuchs LS, et al：Understanding, educating, and supporting children with specific learning disabilities：50 years of science and practice. Am Psychol 75：37-51, 2020

5）Lovett MW, Frijters JC, Wolf MA, et al：Early intervention for children at risk for reading disabilities：the impact of grade at intervention and individual differences on intervention outcomes. J Educ Psychol 109：889-914, 2017

6）辻井正次，藤田知加子，大岡治恵：通常学級に在籍する児童の書字能力に関する縦断的研究．厚生労働科学研究費 補助金（こころの健康科学研究事業）発達障害者の新しい診断・治療法の開発に関する研究．pp119-124, 2009　https://mhlw-grants.niph.go.jp/system/files/2009/093151/200935006B/200935006B0006.pdf［2023年1月10日閲覧］

7）深川美也子：幼稚園年長児の音韻意識と小学1年生ひらがな書字成績との関係—幼稚園年長時から小学校1年生7月・12月までの縦断的検討を通して．LD研究 31：2-16, 2022

8）Stodden RA, Roberts KD, Takahashi K, et al：Use of Text-to-speech Software to Improve Reading Skills of High School Struggling Readers. Procedia Comput Sci 14：359-362, 2012

9）内田佳那，丹治敬之：ICTの音声読み上げ機能の活用が学習障害児の文章読解成績と自律的な家庭学習にもたらす効果．LD研究 30：73-84, 2021