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文献詳細

雑誌文献

精神医学65巻5号

2023年05月発行

文献概要

増大号特集 いま,知っておきたい発達障害 Q&A 98 6 治療

Q88 ADHD治療薬は妊娠中に継続しても大丈夫ですか?

著者: 杉本篤言1

所属機関: 1新潟大学大学院医歯学総合研究科地域精神医療学講座 2新潟大学大学院医歯学総合研究科精神医学分野

ページ範囲:P.807 - P.809

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A 注意欠如・多動症(ADHD)治療薬の妊娠中の使用に関するエビデンスはまだ少ないです。薬物治療を続ける場合は胎児への曝露を考慮しなくてはなりませんが,中止した場合は母体の精神状態に関連する有害な行動が増加する可能性があります。グアンファシンは本邦では妊婦に禁忌です。メチルフェニデート,アンフェタミン,アトモキセチンに明らかな催奇形性はありませんが,妊娠と薬物治療の関係や計画的な治療中断について日常診療のうちから患者と話し合っておくことが重要です。

参考文献

1)American Psychiatric Association[髙橋三郎,大野裕(監訳)]:DSM-5精神疾患の分類と診断の手引.医学書院,2014
2)Li L, Sujan AC, Butwicka A, et al:Associations of Prescribed ADHD Medication in Pregnancy with Pregnancy-Related and Offspring Outcomes:A Systematic Review. CNS Drugs 34:731-747, 2020
3)ADHDの診断・治療指針に関する研究会,齊藤万比古,飯田順三(編):注意欠如・多動症—ADHD—の診断・治療ガイドライン第5版.じほう,2022
4)Ornoy A, Koren G:The Effects of Drugs used for the Treatment of Attention Deficit Hyperactivity Disorder(ADHD)on Pregnancy Outcome and Breast-feeding:A Critical Review. Curr Neuropharmacol 19:1794-1804, 2021

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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