文献詳細
特集 精神科医療の必須検査—精神科医が知っておきたい臨床検査の最前線
パニック症の鑑別診断—身体疾患や物質・医薬品によるパニック発作をどう見抜くか
著者: 川村清子1 塩入俊樹1
所属機関: 1岐阜大学大学院医学系研究科精神医学分野
ページ範囲:P.922 - P.930
文献概要
パニック症(panic disorder:PD)の主要症状の1つであるパニック発作(panic attack:PA)は,数多くの身体症状を伴う。したがってPDの鑑別診断では,身体疾患(=医学的疾患medical conditions:MC)や物質・医薬品(substance/medication:SM)の関与について鑑別することが,特に重要となる。実際,PAはさまざまなMCやSMによって誘発される。実臨床において,これらの偽りの(PDによるものではない)PAをいかに見抜くかが,精神科医としての技量と言えよう。筆者らは,以下の3つの段階を経て見抜くよう心掛けている。まずPAを生じた症例がPDの典型例からどれだけ逸脱しているのか(逸脱が大きいほどPDの可能性が低くなる),そして次にSMの存在の有無,を評価する。もし,SMの関与がないとなれば,最後にMCによるPAの可能性について検討し,身体科医へのコンサルトを行う。本稿では,PAを生じさせるMC/SMにはどのようなものがあるのか,必要な検査は何か,についても記述する。
参考文献
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