文献詳細
特集 子どものうつ病に気づく
子どものうつ病は周囲の大人(親や教師)にどのように見えているのか
著者: 山田敦朗1
所属機関: 1名古屋市立大学大学院医学研究科精神・認知・行動医学分野
ページ範囲:P.1007 - P.1015
文献概要
子どものうつ病は,親や教師にとっては,今なお認識されているとは言いがたい。本人の発達特性,学校などの社会的環境,家庭環境といった要因が背景にあり,これに発症要因が加わって発症することが多い。周囲の大人には,これらすべてが重なって不調になっている状態がおぼろげながらにしか見えていないことも多く,発症要因をはじめ目立つ要因ばかりに目が行きがちである。不登校や身体症状が前面に出ているようなケースでは,表面的な症状にとらわれ,状態のみを改善することや原因探しに終始してしまうことも少なくない。診療においては,操作的診断基準を用いてきちんと評価するとともに,背景にある要因を丁寧に検討していくことが求められる。神経発達症の併存が多いことから,神経発達症の評価も行っていくべきである。治療では,心理社会的介入を優先することが大切で,親や教師に寄り添った対応を心がける。
参考文献
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