icon fsr

文献詳細

雑誌文献

精神医学65巻7号

2023年07月発行

特集 子どものうつ病に気づく

子どものうつ病は周囲の大人(親や教師)にどのように見えているのか

著者: 山田敦朗1

所属機関: 1名古屋市立大学大学院医学研究科精神・認知・行動医学分野

ページ範囲:P.1007 - P.1015

文献概要

抄録
 子どものうつ病は,親や教師にとっては,今なお認識されているとは言いがたい。本人の発達特性,学校などの社会的環境,家庭環境といった要因が背景にあり,これに発症要因が加わって発症することが多い。周囲の大人には,これらすべてが重なって不調になっている状態がおぼろげながらにしか見えていないことも多く,発症要因をはじめ目立つ要因ばかりに目が行きがちである。不登校や身体症状が前面に出ているようなケースでは,表面的な症状にとらわれ,状態のみを改善することや原因探しに終始してしまうことも少なくない。診療においては,操作的診断基準を用いてきちんと評価するとともに,背景にある要因を丁寧に検討していくことが求められる。神経発達症の併存が多いことから,神経発達症の評価も行っていくべきである。治療では,心理社会的介入を優先することが大切で,親や教師に寄り添った対応を心がける。

参考文献

1)木本啓太郎,山本賢司:子どものうつ病は見逃されているのか.臨精医 52:83-88, 2023
2)辻井農亜:11.抑うつ障害群.精神科治療 35(増刊号):216-219, 2020
3)花田一志:小児・思春期のうつ病に対する薬物療法.精神科治療 36:1165-1170, 2021
4)傳田健:「子どものうつ病」再考.児童青年精医と近接領域 57:415-424, 2016
5)杉山登志郎:8.小児・思春期のうつ・気分障害の治療 2)薬物療法.Prog Med 41:991-995, 2021
6)稲垣貴彦:8.小児・思春期のうつ・気分障害の気づき(発症の契機)と診断.Prog Med 41:979-983, 2021
7)片桐正敏,辻井正次:学校コホートで子どものこころの発達を見守る.こころの科学(181):26-30, 2015
8)鈴木太:5.精神医学的併存症と心理社会的状況を考慮した青年期うつ病の治療.Prog Med 41:967-971, 2021
9)久能勝:4.小児・思春期のうつ・気分障害に特有の臨床像,成人との異同.Prog Med 41:961-965, 2021
10)村上佳津美:小児の心身症—診断と治療.児童青年精医と近接領域59:283-293, 2018
11)日本小児心身医学会:小児心身医学会ガイドライン集—日常診療に活かす5つのガイドライン,改訂第2版.南江堂,2015
12)村瀬聡美:わが子がうつかもしれないと感じたら.こころの科学(162):83-87, 2012
13)神庭重信,齊藤万比古:大うつ病性障害の小児に対する新規抗うつ薬の投与にかかる添付文書改訂に対する見解.一般社団法人日本児童青年精神医学会ホームページ,2013 https://child-adolesc.jp/notice/2013-03-29/[2023年4月14日閲覧]

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら