文献詳細
文献概要
特集 複雑性PTSDの臨床
特集にあたって
著者: 原田誠一1
所属機関: 1原田メンタルクリニック・東京認知行動療法研究所
ページ範囲:P.1089 - P.1090
文献購入ページに移動 本特集の企画・編集に携わった私は,従来の正統的な精神医学にはいくつかの重大な課題があるが,その最たるものの1つが複雑性PTSD(post traumatic stress syndrome)およびトラウマ(以下,複雑性PTSD)の軽視にあると考えている。複雑性PTSDはすべての精神疾患と深い関わりがあり,その難治化に寄与している。そして精神科医が診療にあたる際,複雑性PTSDの診断と治療を適切に行えるか否かで,患者の経過は大きく変わり得る。こうした事実から,私たち精神科医にとって複雑性PTSDがすこぶる重要な臨床テーマであることは自明ではあるまいか。
加えてわが国の特殊事情として,複雑性PTSDの悪影響が殊に甚大である可能性を指摘できるように思う。複雑性PTSDが発生する原因となり,また結果である場合も多い現象に「差別」と「軍隊,戦争」がある。
加えてわが国の特殊事情として,複雑性PTSDの悪影響が殊に甚大である可能性を指摘できるように思う。複雑性PTSDが発生する原因となり,また結果である場合も多い現象に「差別」と「軍隊,戦争」がある。
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