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雑誌詳細

文献概要

特集 複雑性PTSDの臨床

複雑性PTSDを診るときに心がけていること

著者: 青木省三12

所属機関: 1公益財団法人慈圭会 精神医学研究所 2公益財団法人慈圭会 慈圭病院

ページ範囲:P.1101 - P.1107

抄録
 治療や支援においては,①過去にトラウマがあるのではないか,②過去のトラウマを賦活してはいないか,③新たなトラウマを作ってはいないか,に配慮することが求められる。本稿では,複雑性PTSDを中心に,トラウマを疑うのはどんなときか,妄想的な部分はあっても,過去のトラウマから発展したトラウマ反応と考えることはできないか,回避を尊重した支援体制のほうが望ましい場合もあるのではないか,ボーダーラインパーソナリティ症と捉えることが不安定さを引き起こすことはないか,などについて,症例を呈示しながら考察した。トラウマからの回復は一様なものではなく,その人なりの癒え方を尊重することが大切になると考えた。

参考文献

1)青木省三,村上伸治,鷲田健二(編):大人のトラウマを診るということーこころの病の背景にある傷みに気づく.医学書院,2021
2)青木省三:ぼくらの中の「トラウマ」—いたみを癒すということ.ちくまプリマー新書,2020
3)青木省三:こころの病を診るということ—私の伝えたい精神科診療の基本.医学書院,2017
4)亀岡智美:子ども虐待とトラウマケア 再トラウマ化を防ぐトラウマインフォームドケア.金剛出版,2020
5)野坂祐子:トラウマインフォームドケア“問題行動”を捉えなおす援助の視点.日本評論社,2019
6)中井久夫,永安朋子:分裂病の回復と養生—中井久夫選集.星和書店,2000
7)原田誠一:短時間の外来診療における複雑性PTSDへの対応—「複雑性外傷記憶」概念を導入して行う心理教育と精神療法の試み.精神療法 44:533-535, 2018

掲載雑誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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