精神医学65巻8号

2023年08月発行

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特集 複雑性PTSDの臨床

複雑性PTSDとトラウマインフォームドケア

著者： 亀岡智美¹

所属機関： ¹兵庫県こころのケアセンター

ページ範囲：P.1117 - P.1122

抄録
　ICD-11で初めて正式な診断基準として認められた複雑性心的外傷後ストレス症（PTSD）は，複雑な病態を呈する疾患である。支援や治療に際しては，過去のトラウマ的出来事の体験と現在認められるさまざまな症状との関連を踏まえたうえで，過去と現在を行き来しながらの対応が求められる。そのためには，トラウマインフォームドケアの基本概念に基づいた支援が推奨されている。ここでは，その中でも最も重要であると考えられる，「ケアの枠組みの構築」と「過去と現在をつなぐケア」について概観した。

参考文献

1）World Health Organization：ICD-11 for mortality and morbidity statistics. 2023　https://icd.who.int/browse11/l-m/en（2023年5月17日閲覧）

2）飛鳥井望：複雑性PTSDの臨床実践ガイド—トラウマ焦点化治療の活用と工夫．日本評論社，2021

3）Forbes D, Bisson J, Monson C, et al：Effective Treatments for PTSD：Practice Guidelines from the International Society for Traumatic Stress Studies, Third edition. Guilford Presss, New York, 2020［飛鳥井望（監訳），飛鳥井望，亀岡智美（訳）：PTSD治療ガイドライン，第3版，金剛出版，2022］

4）Substance Abuse and Mental Health Services Administration：SAMHSA's Concept of Trauma and Guidance for a Trauma-Informed Approach. HHS Publication No. （SMA）14-4884, Rockville, 2014［大阪教育大学学校危機メンタルサポートセンター，兵庫県こころのケアセンター（訳）：SAMHSAのトラウマ概念とトラウマインフォームドアプローチのための手引き．2018］　https://www.j-hits.org/document/child/page6.html（2023年5月17日閲覧）

5）Phoenix Australia：Australian guidelines for the prevention and treatment of acute stress disorder, posttraumatic stress disorder and complex PTSD. 2020　https://www.phoenixaustralia.org/australian-guidelines-for-ptsd/（2023年5月17日閲覧）