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文献詳細

雑誌文献

精神医学65巻9号

2023年09月発行

特集 拡がり続ける摂食障害(摂食症)—一般化とともに拡散・難治化する精神病理にどう対処するか

[摂食障害の治療]

摂食障害(摂食症)に対する精神療法のあり方—支持的精神療法は何を支持すべきか

著者: 西園マーハ文1

所属機関: 1明治学院大学心理学部

ページ範囲:P.1245 - P.1251

文献概要

抄録
 摂食障害(摂食症)の治療においては,低栄養状態や過食嘔吐の頻度の改善などが治療目標となることが多い。特に,神経性やせ症の治療においては身体治療が最優先であり,心理的課題は隠れたまま治療中断となることも少なくない。心理面への援助の難しさは,身体状況が悪いことに加え,本人から語られるのが肥満恐怖ばかりで対話が成立しにくいという要因もある。しかし,心理検査の活用や,成長曲線など継時的変化の観察,また過活動制限時の不安の表出などから,本人が抱える心理的課題に光を当てることは可能である。これらを治療の中で話題にできた時に,支持的精神療法が可能になると考えられる。このことは,長期経過を考える上でも非常に重要である。

参考文献

1)西園マーハ文:摂食障害の啓発と発症予防の取り組み.精神科治療 33:1449-1454, 2018
2)西園マーハ文:摂食障害とスティグマ,セルフスティグマ.日社精医会誌,2023(印刷中)
3)Hoek HW:Epidemiology of eating disorders. In:Browel KD, Walsh BT(eds):Eating Disorders and Obesity:A Comprehensive Handbook, 3rd ed. The Guilford Press, New Nork, pp 237-242, 2017
4)西園マーハ文:摂食障害.対人援助職のための精神医学講座—グループディスカッションで学ぶ.誠信書房,pp 122-137, 2020
5)Treasure J:Anorexia Nervosa:A Survival Guide for Families, Friends and Sufferers. Psychology Press, London, 1997[トレジャー(著),傳田健三(訳):取り組みを始める準備.拒食症サバイバルガイド.金剛出版,pp 113-127, 2000]
6)向谷地生良:技法以前—べてるの家のつくりかた.医学書院,2009
7)西園マーハ文:摂食障害.精神医学 63:1691-1696, 2021
8)西園マーハ文:摂食障害の精神医学.日本評論社,pp 50-61, 2022
9)Garner DM:Eating Disorders Inventory-2. Psychological Assessment Resources Inc. Lutz, 1991
10)西園マーハ文,群馬会群馬病院摂食障害治療チーム:はじめに—摂食障害を精神科で治療する意味.過食症の短期入院プログラム—精神科のスキルを生かして摂食障害治療に取り組もう.星和書店,pp 1-10, 2017
11)Kothari R, Easter A, Lewis R, et al:Intimate partner violence among women with eating disorders during the perinatal period. Int J Eat Disord 48:727-735, 2015

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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