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文献詳細

雑誌文献

精神医学65巻9号

2023年09月発行

文献概要

特集 拡がり続ける摂食障害(摂食症)—一般化とともに拡散・難治化する精神病理にどう対処するか [日本の治療環境に合わせた治療資源の拡充]

摂食障害相談支援と紹介ネットワークの構築

著者: 河合啓介123

所属機関: 1国立国際医療研究センター国府台病院心療内科 2摂食障害全国支援センター「相談ほっとライン」 3千葉県摂食障害支援拠点病院

ページ範囲:P.1288 - P.1295

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抄録
 2015年,厚生労働省は,宮城県,千葉県などの全国5か所の医療機関を摂食障害支援拠点病院(以下,支援拠点病院)に指定し,当事者・家族からの電話やメールの無料相談や地域連携支援体制の構築を行っている。さらに,2022年1月には,支援拠点病院が設置されていない都道府県に対して相談業務を行うため,当院が摂食障害「相談ほっとライン」事業を国立精神・神経医療研究センターから委託された。これらの活動を通じて,われわれは千葉県内の医療連携を推進し,基幹病院(国府台病院)への紹介割合は,2017年度94%から2021年度は19%に減少した。全国対象の「相談ほっとライン」は,人口の多い自治体在住者からの相談が多く,その内訳は,母親が51%,当事者が31%であった。相談内容は,受診先相談や対応相談が多く,また受診状況は未受診が21%,治療中や治療中断事例からの相談が57%であった。メールや電話などを用いた敷居の低い相談体制は摂食障害(摂食症)支援に有用である。

参考文献

1)Treasure J, Claudino AM, Zucker N:Eating disorders. Lancet 375:583-593, 2010
2)安藤哲也:摂食障害の治療と支援の体制づくり.令和2年度障害者総合福祉推進事業「摂食障害治療及び支援の実態把握及び好事例の把握に関する検討」事業報告書.国立精神・神経医療研究センター,pp 4-7, 2021
3)河合啓介,伊藤沙織,山本ゆりえ,他:摂食障害治療支援ネットワークの現状とその課題—千葉県の摂食障害診療の調査.日本心療内科学会誌 25:10-18, 2021
4)河合啓介:摂食障害の治療および支援の好事例の調査と提示:千葉県.令和2年度障害者総合福祉推進事業「摂食障害治療及び支援の実態把握及び好事例の把握に関する検討」事業報告書.国立精神・神経医療研究センター,pp 57-64, 2021
5)河合啓介:千葉県摂食障害支援拠点病院活動報告書.令和4年度精神保健対策費補助金「摂食障害治療支援センター設置運営事業」報告書.pp 52-67, 2023
6)Kawai K, Kojima Y, Yamamoto Y, et al:The importance of an eating disorder treatment support center in Japan:A survey from 2017 to 2020. Glob Health Med 4:152-158, 2022
7)国立精神・神経医療研究センター:相談支援.令和4年度精神保健対策費補助金「摂食障害治療支援センター設置運営事業」令和4年度事業報告書.pp 16-18, 2023

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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