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文献概要
特集 拡がり続ける摂食障害(摂食症)—一般化とともに拡散・難治化する精神病理にどう対処するか [日本の治療環境に合わせた治療資源の拡充]
治療からリハビリテーションへのパラダイムシフト—なぜ摂食障害の地域支援は広がらないのか
著者: 武田綾1
所属機関: 1特定非営利活動法人のびの会相談室
ページ範囲:P.1304 - P.1311
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精神障害者への国の施策として,多様なアウトリーチが展開されている。摂食障害の慢性例においても,症状の消失より生活のqualityの向上を目標に掲げることに考え方はシフトしつつある。そのため2000年頃からその取り組みが少しずつ始まり,まだ数少ないながらも地域における生活支援を目的にそれぞれの特性を活かして運営している。その中で見えてきたのは,いずれも本症者の日常生活における対人関係や自立課題,社会適応の困難さであり,その「生きづらさ」がこうした症状に置き換えられて否認されているものと思われた。医療機関や家庭だけではなく,社会での日常生活を通じて課題の解決が図れることが理想だが,本症者にも制度的にも現行の体制では難しく,今後どのような支援体制が可能かを考えていく必要がある。
精神障害者への国の施策として,多様なアウトリーチが展開されている。摂食障害の慢性例においても,症状の消失より生活のqualityの向上を目標に掲げることに考え方はシフトしつつある。そのため2000年頃からその取り組みが少しずつ始まり,まだ数少ないながらも地域における生活支援を目的にそれぞれの特性を活かして運営している。その中で見えてきたのは,いずれも本症者の日常生活における対人関係や自立課題,社会適応の困難さであり,その「生きづらさ」がこうした症状に置き換えられて否認されているものと思われた。医療機関や家庭だけではなく,社会での日常生活を通じて課題の解決が図れることが理想だが,本症者にも制度的にも現行の体制では難しく,今後どのような支援体制が可能かを考えていく必要がある。
参考文献
1)鈴木健二,武田綾,白倉克之:アディクションモデルによる過食症の入院治療の試み.心身医学 43:689-697, 2003
2)野間俊一,香月晶:摂食障害の過食症状に対する行動制限療法を用いた入院治療(過食症教育入院プログラム)の有効性に関する研究.厚生労働省精神・神経疾患研究委託費20委-2 摂食障害の疫学,病態と診断,治療法,転帰と予後に関する総合的研究(主任研究者・切池信夫)平成20-22年度総活・分担研究報告書.pp 57-60, 2011
3)林公輔,西園マーハ文:精神科病院における摂食障害の治療.精神科治療学 27:1453-1458, 2012
4)栗田大輔,竹林淳和:神経性やせ症に対する包括的入院治療プログラム—静岡県摂食障害診療ネットワークの構築.精神経誌 120:85-92, 2018
5)永田利彦:孤立していく病,摂食障害の集団精神療法.精神療法増刊10:199-204, 2023
6)松木邦裕:摂食障害というこころ—創られた悲劇/築かれた閉塞.新曜社,2008
7)Minuchin S, Rosman BL, Baker L:Psychosomatic families:anorexia nervosa in context. Harvard University Press, Cambridge, 1978[福田俊一(監訳):思春期やせ症の家族—心身症の家族療法.星和書店,1987]
8)下坂幸三:青年期やせ症(神経性無食欲症)の精神医学的研究.精神経誌 63:1041-1082, 1961
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