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特集 不登校の理解と支援 【家庭・学校・社会との関連】
愛着や居場所という視点から考える不登校
著者: 和迩健太1 村上伸治1
所属機関: 1川崎医科大学精神科学教室
ページ範囲:P.1270 - P.1276
文献購入ページに移動不登校の生徒数は,社会のあり方や不登校に対する考え方が変化しているとはいえ,依然として高い水準で推移しているのが現状である。精神科臨床において愛着に問題を抱える虐待例を中心とした不登校ケースは当然として経験することがあるが,幼少期の愛着形成に特に問題もなく普通に育てられてきた子どもが不登校となり,その瞬間から子どもと親の愛着に混乱を来すケースのほうがむしろ多い。家庭内が「安全基地」として機能していたにもかかわらず,不登校問題に親が戸惑ってしまった結果「安全基地」として機能しなくなるからである。そのような愛着に混乱を来した親子に対して精神科医ができることは,子どもに対しては肯定し続け,時に診察室を「安全基地」として提供し,また親に対しては親の混乱を受け止めながら子どもを肯定的に受け止めるあり方を伝えていくことで,再び家庭を「安全基地」として機能させることではないかと考える。
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