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文献詳細

雑誌文献

精神医学66巻10号

2024年10月発行

文献概要

特集 不登校の理解と支援 【家庭・学校・社会との関連】

愛着や居場所という視点から考える不登校

著者: 和迩健太1 村上伸治1

所属機関: 1川崎医科大学精神科学教室

ページ範囲:P.1270 - P.1276

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抄録
 不登校の生徒数は,社会のあり方や不登校に対する考え方が変化しているとはいえ,依然として高い水準で推移しているのが現状である。精神科臨床において愛着に問題を抱える虐待例を中心とした不登校ケースは当然として経験することがあるが,幼少期の愛着形成に特に問題もなく普通に育てられてきた子どもが不登校となり,その瞬間から子どもと親の愛着に混乱を来すケースのほうがむしろ多い。家庭内が「安全基地」として機能していたにもかかわらず,不登校問題に親が戸惑ってしまった結果「安全基地」として機能しなくなるからである。そのような愛着に混乱を来した親子に対して精神科医ができることは,子どもに対しては肯定し続け,時に診察室を「安全基地」として提供し,また親に対しては親の混乱を受け止めながら子どもを肯定的に受け止めるあり方を伝えていくことで,再び家庭を「安全基地」として機能させることではないかと考える。

参考文献

1)文部科学省:令和4年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果について.2023 https://www.mext.go.jp/content/20231004-mxt_jidou01-100002753_1.pdf[2024年7月18日閲覧]
2)文部科学省:令和2年度不登校児童生徒の実態把握に関する調査報告書.2021 https://www.mext.go.jp/content/20211006-mxt_jidou02-000018318_03.pdf[2024年7月18日閲覧]
3)齊藤万比古:児童精神科と不登校.児童青年精神医学とその近接領域.62:162-172, 2021
4)John Bowlby,二木武(監訳):母と子のアタッチメント—心の安全基地.医歯薬出版,1993
5)武井明:日々の診療の中で安心を提供する.こころの科学 216:42-45, 2021
6)村上伸治:虐待などない普通のそだちにおける愛着の問題.そだちの科学 33:63-69, 2019

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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