文献詳細
特集 不登校の理解と支援
【不登校に潜む精神疾患・症状】
文献概要
抄録
小児医療提供体制の中で,子どもの心の問題への対応が重要視されてきている。特に不登校の児童生徒は毎年5万人ずつ増え続け,小児科クリニック,精神科クリニックでの対応が求められている。不登校の初期症状として,繰り返す頭痛・腹痛や,めまい,朝起きられないなどの起立性調節障害の症状を呈することがしばしばある。子どもの心の診療医は,不登校に伴う身体症状の原因が器質的疾患でないことを診療で明らかにし,精神症状と身体症状が相互に関与する心身相関の機序を説明し,身体症状への対応を本人と保護者に提供しなければならない。本人と保護者が身体症状に注目し過ぎると,心の診療や支援が進まない一面がある一方,子どもが発せられた身体症状の主訴に真摯に向き合うことで,徐々に心の診療が深まっていくこともある。小児科を受診する不登校の特徴,不登校の子どもに認める身体症状,起立性調節障害への対応,身体症状を伴う不登校への支援を中心に解説する。
小児医療提供体制の中で,子どもの心の問題への対応が重要視されてきている。特に不登校の児童生徒は毎年5万人ずつ増え続け,小児科クリニック,精神科クリニックでの対応が求められている。不登校の初期症状として,繰り返す頭痛・腹痛や,めまい,朝起きられないなどの起立性調節障害の症状を呈することがしばしばある。子どもの心の診療医は,不登校に伴う身体症状の原因が器質的疾患でないことを診療で明らかにし,精神症状と身体症状が相互に関与する心身相関の機序を説明し,身体症状への対応を本人と保護者に提供しなければならない。本人と保護者が身体症状に注目し過ぎると,心の診療や支援が進まない一面がある一方,子どもが発せられた身体症状の主訴に真摯に向き合うことで,徐々に心の診療が深まっていくこともある。小児科を受診する不登校の特徴,不登校の子どもに認める身体症状,起立性調節障害への対応,身体症状を伴う不登校への支援を中心に解説する。
参考文献
1)日本小児心身医学会(編):小児心身医学会ガイドライン集 日常診療に活かす5つのガイドライン,改訂第2版.南江堂,2015
2)Vanaelst B, De Vriendt T, Ahrens W, et al:Prevalence of psychosomatic and emotional symptoms in European school-aged children and its relationship with childhood adversities:Results from the IDEFICS study. Eur Child Adolesc Psychiatry 21:253-265, 2012[PMID:22350132]
3)石井隆大,永光信一郎,櫻井利恵子,他:小児心身症評価スケール(Questionnaire for triage and assessment with 30 items).日小児会誌 121:1000-1008, 2017
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