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文献詳細

雑誌文献

精神医学66巻10号

2024年10月発行

文献概要

特集 不登校の理解と支援 【社会資源との連携】

不登校に伴う家族への支援

著者: 牛島洋景1

所属機関: 1うしじまこころの診療所

ページ範囲:P.1342 - P.1347

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抄録
 不登校の支援において家族への支援は必須のことである。しかし,家族への支援には多くの矛盾や支援者の葛藤が含まれていることを忘れてはならない。家族への支援はサポーティブな側面がある一方で,家族への侵襲的な要素が含まれているなど矛盾を含んでおり,それぞれの思いを慮る必要がある。不登校の子どもの病理を家族が理解することが必要である一方,無理に理解するように促すことが,家族の自責の念や支援者への不信感を惹起する可能性がある。かといって,家族の思いを理解することのみでは,子どもへの対応が疎かになる。治療者はその葛藤を自覚しながら,バランスよく支援にあたるべきである。相談に訪れた家族の反応を十分に見極め,支援計画を立てる必要がある。その支援の先にある家庭と社会との再統合を見据える感覚を忘れずに,他機関との連携も密に行うとよいであろう。

参考文献

1)橋本やよい:母親面接の導き手としての「子ども」.山中康裕,岡田康伸(編):身体像とこころの癒し—三好暁光教授退官記念論文集.pp43-50, 岩崎学術出版社, 1994
2)石暁玲,桂田恵美子:保育園児を持つ母親のディストレスとソーシャル・サポートとの関係:育児不安と精神的健康度に焦点を当てて.家族心理学研究 27:44-56, 2013
3)佐藤文昭:包括型地域生活支援プログラムの概要と家族支援.臨床福祉ジャーナル 3:12-19, 2006
4)篠原郁子:Sensitivityの派生概念と子どもの社会的発達—アタッチメント研究からの展望.心理学評論 58:506-529, 2015
5)文部省学校不適応対策調査研究者協力会議:今後の不登校の対応への在り方について(報告).2003

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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