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文献詳細

雑誌文献

精神医学66巻11号

2024年11月発行

特集 「難治例」の臨床—治療に難渋する時の診断,治療,そして予防

認知症患者の行動・心理症状

著者: 赤川美貴1 池田由美1 數井裕光1

所属機関: 1高知大学医学部神経精神科学教室

ページ範囲:P.1461 - P.1467

文献概要

抄録
 「難治」とは「病気が治るのが難しい」という意味である。認知症における難治を考える際に,さまざまな視点で考えることができる。そのなかでも行動・心理症状(behavioral and psychological symptoms of dementia: BPSD)を伴うと,家族の負担,本人の危険,薬の治療における身体的な合併症の考慮など,一気に「難治」の度合が跳ね上がる。BPSDのほとんどは身体的に末期になる以前にピークを迎え,認知症患者の60〜90%が少なくとも1つ以上のBPSDを呈すると言われており,認知症の診療では避けられない問題である。本稿では,最初にBPSDとその治療法の総論的内容をまとめ,その後に,BPSDに対する治療や対応に難渋した,アルツハイマー型認知症,レビー小体型認知症,前頭側頭型認知症それぞれの症例を提示し,難治例に対する介入について考察した。

参考文献

1)日本精神神経学会認知症委員会(編):日本精神神経学会認知症診療医テキスト.pp77-84,新興医学出版社,2019
2)認知症疾患診療ガイドライン作成委員会(編):認知症疾患診療ガイドライン2017.pp10-11,pp274-278,医学書院,2017
3)Kales HC, Gitlin LN, Lyketsos CG:Assessment and management of behabioral and psychological symptoms of dementia. BMJ 350:h369, 2015[PMID:25731881]
4)數井裕光:アルツハイマー病の行動・心理症状.医学のあゆみ 287:1088-1093, 2023
5)de Vugt ME, Stevens F, Aalten P, et al:Do caregiver management strategies influence patient behavior in dementia? Int J Geriatr Psychiatry 19:85-92, 2004[PMID:14716704]
6)Mori E, Ikeda M, Kosaka K;Donepezil-DLB Study Investigators:Donepezil for dementia with Lewy bodies:A randomized, placebo-controlled trial. Ann Neurol 72:41-52, 2012[PMID:22829268]
7)川畑信也:事例から考える認知症のBPSDへの対応—非薬物療法・薬物療法の実際.pp111-130,中外医学社,2018
8)佐藤俊介,繁信和恵:前頭側頭型認知症.診断と治療 110:573-580, 2022
9)池田学:前頭側頭型認知症(Pick病).日本医事新報 5072:40-41, 2021

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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