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特集 「難治例」の臨床—治療に難渋する時の診断,治療,そして予防
文献概要
抄録
「難治」とは「病気が治るのが難しい」という意味である。認知症における難治を考える際に,さまざまな視点で考えることができる。そのなかでも行動・心理症状(behavioral and psychological symptoms of dementia: BPSD)を伴うと,家族の負担,本人の危険,薬の治療における身体的な合併症の考慮など,一気に「難治」の度合が跳ね上がる。BPSDのほとんどは身体的に末期になる以前にピークを迎え,認知症患者の60〜90%が少なくとも1つ以上のBPSDを呈すると言われており,認知症の診療では避けられない問題である。本稿では,最初にBPSDとその治療法の総論的内容をまとめ,その後に,BPSDに対する治療や対応に難渋した,アルツハイマー型認知症,レビー小体型認知症,前頭側頭型認知症それぞれの症例を提示し,難治例に対する介入について考察した。
「難治」とは「病気が治るのが難しい」という意味である。認知症における難治を考える際に,さまざまな視点で考えることができる。そのなかでも行動・心理症状(behavioral and psychological symptoms of dementia: BPSD)を伴うと,家族の負担,本人の危険,薬の治療における身体的な合併症の考慮など,一気に「難治」の度合が跳ね上がる。BPSDのほとんどは身体的に末期になる以前にピークを迎え,認知症患者の60〜90%が少なくとも1つ以上のBPSDを呈すると言われており,認知症の診療では避けられない問題である。本稿では,最初にBPSDとその治療法の総論的内容をまとめ,その後に,BPSDに対する治療や対応に難渋した,アルツハイマー型認知症,レビー小体型認知症,前頭側頭型認知症それぞれの症例を提示し,難治例に対する介入について考察した。
参考文献
1)日本精神神経学会認知症委員会(編):日本精神神経学会認知症診療医テキスト.pp77-84,新興医学出版社,2019
2)認知症疾患診療ガイドライン作成委員会(編):認知症疾患診療ガイドライン2017.pp10-11,pp274-278,医学書院,2017
3)Kales HC, Gitlin LN, Lyketsos CG:Assessment and management of behabioral and psychological symptoms of dementia. BMJ 350:h369, 2015[PMID:25731881]
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6)Mori E, Ikeda M, Kosaka K;Donepezil-DLB Study Investigators:Donepezil for dementia with Lewy bodies:A randomized, placebo-controlled trial. Ann Neurol 72:41-52, 2012[PMID:22829268]
7)川畑信也:事例から考える認知症のBPSDへの対応—非薬物療法・薬物療法の実際.pp111-130,中外医学社,2018
8)佐藤俊介,繁信和恵:前頭側頭型認知症.診断と治療 110:573-580, 2022
9)池田学:前頭側頭型認知症(Pick病).日本医事新報 5072:40-41, 2021
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