文献詳細
書評
—本田秀夫 担当編集—〈講座 精神疾患の臨床〉9—神経発達症群 フリーアクセス
著者: 齊藤万比古1
所属機関: 1恩賜財団母子愛育会愛育研究所
ページ範囲:P.1607 - P.1607
文献概要
本書は総論に続く各論で知的発達症,発達性学習症,自閉スペクトラム症(ASD),注意欠如多動症(ADHD)の4疾患をそれぞれ章立てしてその諸側面に触れ,最終章に4疾患以外の発達性協調運動症や常同運動症などのNDDと,NDDsに分類されていない排泄症群,反抗挑発症,素行・非社会的行動症,さらにはICD-11では神経系疾患に分類された一次性チック症を関連疾患としてまとめているところに工夫がある。まさにNDDsの手強さは,上記の反抗挑発症や素行・非社会的行動症,そして総論である1章の「神経発達症群における鑑別と併存症」と「adverse childhood experiences(ACEs)の項で扱われている乳幼児期の心的外傷に関連した精神疾患などの併存症が絡みあう入り組んだ状態像をとらえる必要がある点と,そうした個々のケースの全体像に応じた治療を組み立てねばならない点にあるのだから。
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