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書評
—小林聡幸 著—うつ病ダイバーシティ フリーアクセス
著者: 松本卓也1
所属機関: 1京都大学大学院人間・環境学研究科/精神病理学
ページ範囲:P.227 - P.227
本書は,著者が1996〜2023年にかけて執筆したうつ病論をまとめた論文集である。同じ著者による統合失調症論集である『行為と幻覚』(金原出版)が刊行されたのは2011年のことであるから,ちょうどそれから干支が一回りしたことになる。『行為と幻覚』もソフトカバーであったが,本書『うつ病ダイバーシティ』はそれに加えて,収録されている精神病理学の論文をかなりユーモラスな筆致でリメイクしており,読みながら思わず何度も笑ってしまうようなつくりになっている。精神病理学の本で大笑いしたのは初めて,という体験をする読者も少なくないだろう。ちなみに,著者はもう1つの専門である音楽家の病跡学の本については2冊ともハードカバーで出しているけれども,やはり本格的な病跡学はまだまだハードカバーじゃないと「感じ」が出ないのかもしれない。
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