精神医学66巻3号

2024年03月発行

特集 精神疾患への栄養学的アプローチ

精神疾患の栄養食事指導の特性と留意点

著者： 阿部裕二¹

所属機関： ¹国立病院機構東京病院栄養管理室

ページ範囲：P.310 - P.313

抄録
　近年，精神疾患に対する栄養管理や栄養食事指導への注目が集まってきている。特に，統合失調症や気分障害の患者に栄養摂取状況を評価して適切な食事をアドバイスすることで食習慣が改善したり，健康面や心理面にもよい影響が及んだりすることが少しずつ明らかになってきた。そのような特性を捉えたうえで，精神疾患の栄養食事指導を行うために留意したい点がある。動機付けを重視すること，継続指導で着実な改善を狙うこと，指導はシンプルに行うこと，改善点を褒めること，行き過ぎた制限に注意することの5つを挙げて経験を含めて考察した。これらの留意点は，さまざまな疾患において共通するものであり，精神疾患の栄養食事指導を行ううえで押さえておきたい基礎的なポイントであろう。

参考文献

1）厚生労働省：栄養士法の一部を改正する法律について（健医発第776号）．2000　https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=00ta4708 ＆ dataType=1＆pageNo=1［2023年12月15日閲覧］

2）吉松博信：肥満症の行動療法．日内会誌 100：917-927, 2011

3）吉松博信：Question統合失調症合併肥満症の治療は？　統合失調症合併肥満症の治療のコツについて教えてください．Q ＆ Aでわかる肥満と糖尿病 8：72-74, 2009

4）阿部裕二，今泉博文，瀬川和彦，他：肥満を合併した外来統合失調症患者に対する栄養食事指導の効果．New Diet Therapy 33：3-11, 2017

5）功刀浩，阿部裕二（編著）：臨床に役立つ精神疾患の栄養食事指導．講談社，2021