文献詳細
特集 精神疾患・精神症状にはどこまで脳器質的背景があるのか—現代の視点から見直す
文献概要
抄録
器質性・内因性・心因性という古典的な精神疾患分類は,1800年代後半からのドイツ精神医学の中で生まれた分類である。本稿では,器質性の定義について,歴史的に振り返り,さらにDSMの各版を見ていくことにより,それがどのように現在の定義に変わってきたかを概説する。疾患の分類と診断は,目的をもった医療行為であり,それぞれの医師が,どのような目的で分類・診断を行うのか,立場を明らかにする必要があると考えられる。
器質性・内因性・心因性という古典的な精神疾患分類は,1800年代後半からのドイツ精神医学の中で生まれた分類である。本稿では,器質性の定義について,歴史的に振り返り,さらにDSMの各版を見ていくことにより,それがどのように現在の定義に変わってきたかを概説する。疾患の分類と診断は,目的をもった医療行為であり,それぞれの医師が,どのような目的で分類・診断を行うのか,立場を明らかにする必要があると考えられる。
参考文献
1)西丸四方:精神医学の古典を読む.みすず書房,1989
2)エーミール・クレペリン(著),西丸四方,遠藤みどり(訳):精神医学総論.みすず書房,1994
3)マンフレッド・ブロイラー:身体疾患に併発する急性精神症状.ベンソンDF,ブラマーD(編),山下格(監):精神医学と神経学の境界領域.金剛出版,1982
4)ボンヘッファーK:外因性精神病の問題について(1909),外因反応型(1917).松下正明,影山任佐(編):現代精神医学の礎Ⅲ—神経心理学/脳器質性疾患・外因精神病.時空出版,2011
5)クルト・シュナイダー(著),西丸四方(訳):臨床精神病理学序説.みすず書房,1977
6)クルト・シュナイダー(著),針間博彦(訳):新版臨床精神病理学,原著第15版.文光堂,2007
7)内村祐之:精神医学の基本問題—精神病と神経症の構造論の展望.医学書院,1972[この文献からは,本稿の全体にわたって示唆を受けている]
8)ジビグニュー・J・リポウスキー:器質性脳症状群—展望と分類.ベンソンDF,ブラマーD(編),山下格(監):精神医学と神経学の境界領域.金剛出版,1982
9)Lipowski ZJ:Delirium(acute confusional states). JAMA 258:1789-1792, 1987[PMID:3625989]
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