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文献詳細

雑誌文献

精神医学66巻5号

2024年05月発行

文献概要

増大号特集 精神科診療における臨床評価尺度・検査を極める—エキスパートによる実践的活用法 Ⅱ章 疾患別の評価尺度・検査 神経発達症群

知的能力障害群の評価・検査—田中ビネー知能検査Ⅴ,新版K式発達検査,Vineland-Ⅱ適応行動尺度

著者: 茶谷佳宏1 惣田聡子1 高橋秀俊12

所属機関: 1高知大学医学部神経精神科学講座 2高知大学医学部寄附講座児童青年期精神医学

ページ範囲:P.498 - P.502

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はじめに
 発達障害者支援法が施行されて20年近く経過し,幼少時から知的機能を評価する機会が増えている。一方で,知的能力障害の診断は,知能指数の値だけで決まるものではなく,適応行動の程度に応じて判断されるという認識が広まっている。特に,知的能力障害の程度が軽度あるいは境界知能の人の支援を考える際に,その人の知的機能のあり方を見極め,社会適応に与える影響について考慮する必要性が認識されている。
 知的機能の遅れに乳幼児健診などで早期に気づかれ,早期治療・早期療育につながるケースもあれば,知的能力障害の程度が軽度の場合は,学業の困難さで学齢期になって初めて気づかれるケースも多い。なかには偏見などを恐れて,成人になっても支援につながらず生活上の困難さを抱えるケースもある。知的能力障害への支援は,療育手帳交付や特別支援教育などが行われる。就労支援に関しては,知的能力障害のほうが精神障害よりも歴史が長い。診断や告知には慎重を要するが,知的能力や社会適応能力を適切にアセスメントし,個々のニーズに応じた支援につなげることは非常に重要である。

参考文献

1)American Psychiatric Association:Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders, 5th ed(DSM-5). American Psychiatric Publishing, Washington DC, 2013[日本精神神経学会(日本語版用語監修),髙橋三郎,大野裕(監訳):DSM-5精神疾患の診断・統計マニュアル.医学書院,2014]
2)田中教育研究所(編):田中ビネー知能検査Ⅴ—理論マニュアル.田研出版,2003
3)大川一郎,中村淳子,野原理恵,他:田中ビネー知能検査Ⅴの開発1-1歳級〜13歳級の検査問題を中心として.立命館人間科学研究 6:25-42, 2003
4)田中教育研究所(編):田中ビネー知能検査Ⅴ—実施マニュアル.田研出版,2003
5)郷間英世,清水里美,岩知道志郎,他:新版K式発達検査2020実施手引書.京都国際社会福祉センター発達研究所,2020
6)Sparrow SS, Cicchetti DV, Balla DA(原著),辻井正次,村上隆(日本版監修),黒田美保,伊藤大幸,萩原拓,他(日本版作成):日本版Vineland-Ⅱ適応行動尺度 マニュアル.日本文化科学社,2014

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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