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文献概要
増大号特集 精神科診療における臨床評価尺度・検査を極める—エキスパートによる実践的活用法 Ⅱ章 疾患別の評価尺度・検査 神経発達症群
知的能力障害群の評価・検査—田中ビネー知能検査Ⅴ,新版K式発達検査,Vineland-Ⅱ適応行動尺度
著者: 茶谷佳宏1 惣田聡子1 高橋秀俊12
所属機関: 1高知大学医学部神経精神科学講座 2高知大学医学部寄附講座児童青年期精神医学
ページ範囲:P.498 - P.502
文献購入ページに移動発達障害者支援法が施行されて20年近く経過し,幼少時から知的機能を評価する機会が増えている。一方で,知的能力障害の診断は,知能指数の値だけで決まるものではなく,適応行動の程度に応じて判断されるという認識が広まっている。特に,知的能力障害の程度が軽度あるいは境界知能の人の支援を考える際に,その人の知的機能のあり方を見極め,社会適応に与える影響について考慮する必要性が認識されている。
知的機能の遅れに乳幼児健診などで早期に気づかれ,早期治療・早期療育につながるケースもあれば,知的能力障害の程度が軽度の場合は,学業の困難さで学齢期になって初めて気づかれるケースも多い。なかには偏見などを恐れて,成人になっても支援につながらず生活上の困難さを抱えるケースもある。知的能力障害への支援は,療育手帳交付や特別支援教育などが行われる。就労支援に関しては,知的能力障害のほうが精神障害よりも歴史が長い。診断や告知には慎重を要するが,知的能力や社会適応能力を適切にアセスメントし,個々のニーズに応じた支援につなげることは非常に重要である。
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