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文献詳細

雑誌文献

精神医学66巻5号

2024年05月発行

文献概要

増大号特集 精神科診療における臨床評価尺度・検査を極める—エキスパートによる実践的活用法 Ⅱ章 疾患別の評価尺度・検査 神経発達症群

限局性学習症の評価尺度と検査—日本版KABC-Ⅱ

著者: 今村明1 岩永竜一郎

所属機関: 1長崎大学生命医科学域保健学系作業療法学分野

ページ範囲:P.514 - P.519

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はじめに
 限局性学習症(specific learning disorder:SLD)とは,神経発達症の1つであり,読み,書き,算数能力などの学習技能が,その人の暦年齢(または暦年齢と知的能力)から期待されるより顕著に低い状態で,その学習の困難さが知的発達の障害,視覚または聴覚の障害,他の精神または神経疾患,教育の欠如,心理社会的逆境体験などに起因するものではない状態である。DSM-5(DSM-5-TR)1)でSLDとして示された概念は,以前は「学習障害(learning disabilities:LD)」として知られており,またICD-11では「発達性学習症(developmental learning disorder)」2)がこれに該当する。
 本稿では,限局性学習症についての診断と臨床評価・心理検査について,KABC-Ⅱ(Kaufman Assessment Battery for Children Second Edition)を中心に概説する。

参考文献

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-Rウエクスラー記憶検査.日本文化科学社,2001
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31)日本高次脳機能障害学会(編):標準失語症検査(SLTA).新興医学出版,2003

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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