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文献概要
増大号特集 精神科診療における臨床評価尺度・検査を極める—エキスパートによる実践的活用法 Ⅱ章 疾患別の評価尺度・検査 神経認知障害群
せん妄の評価尺度—CAM,DRS-R-98,MDAS
著者: 和田健1
所属機関: 1広島市立病院機構広島市立広島市民病院精神科
ページ範囲:P.640 - P.645
文献購入ページに移動はじめに
せん妄は,身体疾患に伴って発症する器質性精神障害のなかで最も頻度が高く,一般病院の入院患者において精神科コンサルテーションが依頼される理由としては最も多い。せん妄は,転倒転落やライン,チューブ類の自己抜去などの事故,医療スタッフの疲弊,在院日数の延長などさまざまな治療上のデメリットを生じさせる。また,患者の自己決定能力やコミュニケーション能力を障害するだけでなく,強い苦痛として体験される。さらには患者の中長期的な予後を悪化させ,認知症への移行や施設入所,死亡率を増加させる。
昨今,せん妄への対策として予防的介入が重要視され,令和2年度診療報酬改定で「せん妄ハイリスク患者ケア加算」が新設された。入院当初から患者ごとにせん妄リスクの適切な評価とそれに基づいた非薬物療法的介入が求められており,多くの医療機関で試行錯誤が続けられている。
このような状況のなかで,いかに適切にせん妄のリスクおよび症状を評価し,早期に診断し,治療的介入に結びつけていくかが医療上の大きな課題となっている。せん妄が発症しているにもかかわらず,見逃されている患者が多い事実は以前から指摘されており,できるだけ簡便で信頼性の高いスクリーニング尺度が求められている。また,適切にせん妄の症状を評価できて診断につながるような尺度や,診断後に治療効果を適切にモニタリングできる尺度も必要である。本稿では,現時点で使用可能なせん妄の評価尺度について解説する。
せん妄は,身体疾患に伴って発症する器質性精神障害のなかで最も頻度が高く,一般病院の入院患者において精神科コンサルテーションが依頼される理由としては最も多い。せん妄は,転倒転落やライン,チューブ類の自己抜去などの事故,医療スタッフの疲弊,在院日数の延長などさまざまな治療上のデメリットを生じさせる。また,患者の自己決定能力やコミュニケーション能力を障害するだけでなく,強い苦痛として体験される。さらには患者の中長期的な予後を悪化させ,認知症への移行や施設入所,死亡率を増加させる。
昨今,せん妄への対策として予防的介入が重要視され,令和2年度診療報酬改定で「せん妄ハイリスク患者ケア加算」が新設された。入院当初から患者ごとにせん妄リスクの適切な評価とそれに基づいた非薬物療法的介入が求められており,多くの医療機関で試行錯誤が続けられている。
このような状況のなかで,いかに適切にせん妄のリスクおよび症状を評価し,早期に診断し,治療的介入に結びつけていくかが医療上の大きな課題となっている。せん妄が発症しているにもかかわらず,見逃されている患者が多い事実は以前から指摘されており,できるだけ簡便で信頼性の高いスクリーニング尺度が求められている。また,適切にせん妄の症状を評価できて診断につながるような尺度や,診断後に治療効果を適切にモニタリングできる尺度も必要である。本稿では,現時点で使用可能なせん妄の評価尺度について解説する。
参考文献
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