文献詳細
文献概要
特集 精神疾患の気づきと病識
気分症の気づきと病識
著者: 平島奈津子1
所属機関: 1オフィス朔
ページ範囲:P.774 - P.779
文献購入ページに移動抄録
一般的に,気分症患者は統合失調症患者よりも病識を有し,また,うつ病患者は双極症患者よりも病識を有すると言われているが,うつ病であっても重篤例では病識は阻害されうる。治療者の“気づき”の精度を上げるためには,鑑別診断・性差・ライフサイクル・併存疾患の視点が有用である。当事者の“気づき”の感度を上げるためには,個々人の発病・増悪のパターンを把握することが有用である。なお,筆者の個人的な見解ではあるが,精神科臨床で有用な病識の概念は患者と治療者との相互交流によって育まれる“間主観的”なものであるように思う。
一般的に,気分症患者は統合失調症患者よりも病識を有し,また,うつ病患者は双極症患者よりも病識を有すると言われているが,うつ病であっても重篤例では病識は阻害されうる。治療者の“気づき”の精度を上げるためには,鑑別診断・性差・ライフサイクル・併存疾患の視点が有用である。当事者の“気づき”の感度を上げるためには,個々人の発病・増悪のパターンを把握することが有用である。なお,筆者の個人的な見解ではあるが,精神科臨床で有用な病識の概念は患者と治療者との相互交流によって育まれる“間主観的”なものであるように思う。
参考文献
1)Jaspers K:Allgemeine Psychopathologie. Julius Springer, Berlin, 1913[カール・ヤスパース(著),西丸四方(訳):精神病理学原論.みすず書房,p 226, 1999]
2)David AS:Insight and psychosis. Br J Psychiatry 156:798-808, 1990[PMID:2207510]
3)Rozalski V, McKeegan GM:Insight and symptom severity in an inpatient psychiatric sample. Psychiatr Q 90:339-350, 2019[PMID:30835013]
4)Sadock BJ, Sadock VA, Ruiz P:Kaplan and Sadock's synopsis of psychiatry:Behavioral science/clinical psychiatry 11th ed. Wolters Kluwer Health, Philadelphia, 2015[井上令一(監修),四宮滋子,田宮聡(監訳):カプラン臨床精神医学テキスト第3版—DSM-5診断基準の臨床への展開.メディカル・サイエンス・インターナショナル,pp 393-433, 2016]
5)Busch FN, Rudden M, Shapiro T :Psychodynamic treatment of depression. American Psychiatric Association, Washington DC, 2004[FNブッシュ,Mラデン,Tシャピロ(著),牛島定信,平島奈津子(監訳):うつ病の力動的精神療法.金剛出版,pp 23-40, 2010]
6)World Health Organization:Dissociative disorders. ICD-11 for Mortality and Morbidity Statistics.(Version:01/2024) https://icd.who.int/browse/2024-01/mms/en[2024年3月1日閲覧]
7)Roter DL, Hall JA, Aoki Y :Physician gender effects in medical communication:A meta-analytic review. JAMA 288:756-764, 2015[PMID:12169083]
掲載誌情報