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文献詳細

雑誌文献

精神医学66巻6号

2024年06月発行

文献概要

特集 精神疾患の気づきと病識

アルツハイマー型認知症の気づきと病識

著者: 繁田雅弘1

所属機関: 1東京慈恵会医科大学精神医学講座

ページ範囲:P.810 - P.815

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抄録
 アルツハイマー型認知症の人が自分を病気と認めない場合は,次のような状況や状態が考えられる。まず,自分に起こった変化が病的だと感じていても第三者の前で病気だと認めたくない場合である。また,自分に何らかの変化が起こっているがそれを病気のためだと理解しない場合もある。そして,変化そのものに気づかない場合も,もちろん病気と認めることはない。しかも,一人の患者が自分の複数の症候に対して異なった態度をとることもある。本稿では,アルツハイマー型認知症の人の病気についての気づきの体験や,気づきと病識の獲得が難しいことによる影響,気づきと病識の獲得が難しい理由,気づきと病識を治療に活かす工夫について筆者の臨床経験を基に述べた。

参考文献

1)Martyr A, Clare L:Awareness of functional ability in people with early-stage dementia. Int J Geriatr Psychiatry 33:31-38, 2018[PMID:28071830]
2)Langer KG , Levine DN, Babinski J:Contribution to the study of the mental disorders in hemiplegia of organic cerebral origin(anosognosia). Translated by Langer KG, Levine DN. Translated from the original Contribution à l'Étude des Troubles Mentaux dans l'Hémiplégie Organique Cérébrale(Anosognosie)Cortex 61:5-8, 2014
3)ダイアナ・フリール マクゴーウィン(著),中村洋子(訳):私が壊れる瞬間(とき)—アルツハイマー病患者の手記.ディーエイチシー,1993
4)繁田雅弘:認知症疾患の告知 実施判断と実施前後の支援.認知症ケア事例ジャーナル 5:316-323, 2012
5)繁田雅弘:認知症疾患における病識を有無で論じることの限界.Prog Med 36:1009-1012, 2016
6)繁田雅弘:認知症の精神療法—アルツハイマー型認知症の人との対話.HOUSE出版,2020

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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