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特集 精神疾患の気づきと病識
発達障害の気づきと病識
著者: 村上伸治1
所属機関: 1川崎医科大学精神科学教室
ページ範囲:P.822 - P.827
文献購入ページに移動精神疾患のなかでも発達障害,特に自閉スペクトラム症(ASD)では,精神疾患特有の自己の客観視の困難に,ASD特性の自己の客観視の困難が加重することが病識に大きく影響する。ASDの診断では,これまでの困りごとと特性を1つずつ結び付けて説明し,実感のある診断や病識を目指すことが重要である。神のお告げのような実感のない診断と病識はその後の困難の原因となり,特に,しぶしぶ受診して診断される例で困難は顕著となる。病識を育てようとして障害特性を指摘することは患者を責めることになりやすく慎重を要する。発達障害を診断し病識を求めることは,時にパンドラの箱を開けることになる場合もある。発達障害は定型発達と連続しているが異質でもあり,自文化と対等の異文化として理解し尊重する文脈で病識が機能することが望まれる。
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