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文献詳細

雑誌文献

精神医学66巻6号

2024年06月発行

特集 精神疾患の気づきと病識

パーソナリティ症—患者の気づきを治療に活かす

著者: 林直樹1

所属機関: 1西ヶ原病院

ページ範囲:P.828 - P.835

文献概要

抄録
 パーソナリティ症の治療は,患者の気づきなしで始めることはできない。治療ではその後も,患者が治療の課題に取り組む中で,自らのパーソナリティを見返し,それに関わる問題を認識し,それへの対策を行ううちに気づきを深めていくという循環的過程が進められる。ここでの治療者(担当医)の役割は,患者に精神医学的評価を提示して,それをもとに自らの問題について考えてもらうこと,そしてその対策を患者とともに検討することである。同時にそこでは,患者の自律性を尊重し,患者が自由に選択できるよう配慮することが重要である。
 本稿ではこの理解の下で,モデル症例を用いて病状把握・診断の説明,治療方針の策定などの治療者の作業や患者の気づきの過程を具体的に示した。

参考文献

1)林直樹:始まり方から考えるパーソナリティ障害治療の終わり方.精神科40:708-714, 2022
2)Eells TD:Psychotherapy case formulation. American Psychological Association, Washington DC 2015[津川律子,岩壁茂(監訳):心理療法におけるケース・フォーミュレーション.福村出版,2021]
3)林直樹:ケースフォーミュレーションの概念と歴史.精神療法増刊6:6-13, 2019
4)林直樹:境界性パーソナリティ障害の病識もしくは疾病認識と精神科治療—当事者と治療スタッフはどうしたら協働できるか? 精神神経誌119:895-902, 2017
5)林直樹:パーソナリティ障害における診断名告知・病状説明.精神医学 62:1097-1104, 2020
6)林直樹:リスカ・ODをコントロールしたいと訴える20代前半女性.下山晴彦(編):事例検討会で学ぶケース・フォーミュレーション.pp 61-79, 遠見書房, 2023
7)林直樹:パーソナリティ症と精神科診療.精神医学63:840-850, 2021
8)Sogo K, Sogo M, Okawa Y:Centrally acting anticholinergic drug trihexyphenidyl is highly effective in reducing nightmares associated with post-traumatic stress disorder. Brain Behav 11:e02147, 2021

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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