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文献詳細

雑誌文献

精神医学66巻7号

2024年07月発行

文献概要

特集 アディクション—コロナ禍で変わったこと,変わらないこと 【物質依存】

アルコール依存症の治療

著者: 武藤岳夫1 長徹二2

所属機関: 1医療法人横田会向陽台病院 2元・信貴山病院ハートランドしぎさん

ページ範囲:P.902 - P.908

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抄録
 アルコール依存症の主な治療要素は,解毒治療,心理社会的治療,薬物療法,自助グループへの橋渡しなどで構成されている。治療の中核とも言える心理社会的治療は,その多くが集団で実施されていたため,コロナ禍による治療への影響は特に大きく,専門医療機関に多くの混乱をもたらした。また,地域の自助グループも,長期にわたり休会するグループが多く,患者もスタッフも回復の大きな柱に接する貴重な機会を奪われた。
 コロナ禍を経験し,オンラインでのミーティングや自助グループなどが普及し,治療構造に大きな変化がもたらされた。また,コロナ禍以前から開発されていたデジタル介入ツールも,ICTの活用が爆発的に普及したことにより,早期介入などへのさらなる活用が期待される。しかし治療の根本は,患者が安心して正直に話せる居場所と治療関係の構築,そしてその場につながり続けることであることに変わりはない。

参考文献

1)野村総一郎(監修),本田明(編):精神科身体合併症マニュアル第2版.医学書院,2018
2)Sullivan JT, Sykora K, Schneiderman J, et al:Assessment of alcohol withdrawal:The revised clinical institute withdrawal assessment foe alcohol scale(CIWA-Ar). Br J Addict 84:1353-1357, 1989[PMID:2597811]
3)Kreamer KL, Mayo-Smith MF, Calkins DR:Independent clinical correlates of severe alcohol withdrawal. Subst Abus 24:197-209, 2003[PMID:14574086]
4)新アルコール・薬物使用障害の診断治療ガイドライン作成委員会:新アルコール・薬物使用障害の診断治療ガイドライン.新興医学出版社,2018
5)Fuller RK, Branchey L, Brightwell DR, et al:Disulfiram treatment of alcoholism. A veterans administration cooperative study. JAMA 256:1449-1455, 1986[PMID:3528541]
6)アルコール依存症の診断と治療に関するeラーニング研修. https://gakken-meds.jp/alc/[2024年4月20日閲覧]
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12)総務省:令和4年通信利用動向調査の結果,2023 https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/statistics/data/230529_1.pdf[2024年4月20日閲覧]
13)武藤岳夫,杠岳文:アルコール依存:対象の拡大と新しい治療法.精神医学 60:121-129, 2018
14)依存症対策全国センターホームページ:介入テキスト・Webアプリケーション等. https://www.ncasa-japan.jp/docs/intervention[2024年4月20日閲覧]
15)Sunami T, So R, Ishii H, et al:A randomized controlled trial of the web-based drinking diary program for problem drinking in multi workplace settings. J Occup Health 64;e12312, 2022[PMID:35026038]
16)浜村俊傑:アルコール依存症に対するデジタル介入の現状.精神科治療学 38(増刊号):161-164, 2023

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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