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研究と報告
発動の精神病理—とくに器質的過程をも顧慮して
著者: 伊東昇太1
所属機関: 1昭和大学医学部神経科教室
ページ範囲:P.60 - P.64
文献購入ページに移動I.序論
発動と前頭葉機能とは,密接な関係にあり,これに関する多くの業績があるが,内因性精神病ばかりでなく,慢性器質性精神病においても観察されるこの障害を検討してみたい。発動の障害が,精神神経疾患においてどのように比較されるかの課題は,この現象の比較精神病理学(注)ともいえるものであり,興味ある課題と考えられる。すなわち,器質性疾患の精神症状と内因性精神病の精神現象の橋渡しの症状として,この問題をとりあげることは,無意味なことでないと思う。なお1961年4月,北,北西ドイツ神経精神医師協会が,Kielにおいてこのテーマをとりあげていることもわれわれの領域で中核的主題の一つであることを示しているといえよう1)。また最近W. Klagesによるこの現象の心理と病理についてのまとめを見るが,31)疾患分類学上での位置づけに以下ふれてみることとする。
発動と前頭葉機能とは,密接な関係にあり,これに関する多くの業績があるが,内因性精神病ばかりでなく,慢性器質性精神病においても観察されるこの障害を検討してみたい。発動の障害が,精神神経疾患においてどのように比較されるかの課題は,この現象の比較精神病理学(注)ともいえるものであり,興味ある課題と考えられる。すなわち,器質性疾患の精神症状と内因性精神病の精神現象の橋渡しの症状として,この問題をとりあげることは,無意味なことでないと思う。なお1961年4月,北,北西ドイツ神経精神医師協会が,Kielにおいてこのテーマをとりあげていることもわれわれの領域で中核的主題の一つであることを示しているといえよう1)。また最近W. Klagesによるこの現象の心理と病理についてのまとめを見るが,31)疾患分類学上での位置づけに以下ふれてみることとする。
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