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文献詳細

雑誌文献

精神医学7巻1号

1965年01月発行

文献概要

研究と報告

てんかん性もうろう状態および知覚抗争を伴つた身体図式障害の1例

著者: 高柳功1

所属機関: 1信州大学医学部精神神経学教室

ページ範囲:P.65 - P.69

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I.序
 身体図式障害という言葉はHeadらが身体図式という概念を提出して以来,脳病理学では広く用いられているが,脳病理学以外の領域でも多くの症状の説明に適用されており,そのために時に混乱が生じてくる。われわれがここで問題にするのは,あくまで脳病理学的概念における身体図式障害である。半側性の身体図式障害の成因については従来種々の異論があり,左大脳半球の優位性という問題もからみ諸家の見解は一致しない。一般に右劣位半球損傷によって身体図式障害が生じやすいことは事実であるが,単に右劣位半球における病巣のみによつてこのような障害が出現するとはいえず,そのさいに病巣外要因も当然考慮せねばならない。病巣外要因として種々な程度の意識障害がしばしば存在することはすでにCritchley,Weinstein,山県らが指摘しており,山県は意識障害の役割りが症状の出現に対してきわめて大きいと述べている。われわれは最近,頭部外傷後遺症で右劣位半球損傷が推定される症例を経験したが,この患者には頻回にもうろう状態が生じ,同時に身体図式障害および触覚性の知覚抗争が認められた。身体図式障害に意識障害および知覚抗争が合併したということは上述の病巣外要因をよりいつそう知るうえで興味のある点である。なお,身体図式障害に対しLSD 25を投与し症状の変化を観察しえたのであわせて報告する。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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