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文献詳細

雑誌文献

精神医学7巻1号

1965年01月発行

文献概要

研究と報告

“Reading Epilepsy”の1症例

著者: 細川清1 西岡博輔1 山本昌知1

所属機関: 1岡山大学医学部神経精神医学教室

ページ範囲:P.71 - P.76

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I.はじめに
 知覚刺激(Sensory Stimuli)によるてんかん発作誘発の記述は古くとくに目新しいことでもない。光原性てんかん,音楽原性てんかんなどの発作群に加え,興味あるSyndromとして1956年Bickford1)が“Reading”が特異的刺激となり発作が誘発された自験例を中心として“Reading Epilepsy”を報告した。本症は2型に分類され“PrimaryReading Epilepsy”は読書が特異刺激であり,なかんづくかれの報告した6例中5例,読書中不随意の発作性下顎運動(A series of involuntaryjerking of the lower jaw)および下顎の異和感の訴えが見られ,読書をさらに継続すれば全身けいれん,意識消失などの発作へと移行するタイプの症例群であつた。これに反し,他のタイプは読書が特異的誘発刺激でなく,他の刺激でも誘発され,例の“下顎運動”も見られず,閉眼覚醒時すでに異常脳波が見られる症例群であるという。その後,“Reading Epilepsy”としての症例報告は相ついで現われ,こんにちまでに29例におよんでいる。これらはまだ症例報告の段階にあり,その機序については定説を見ていないようである。われわれも最近Bickfordによるいわば第2のグループにはいると思われる症例を経験したので本症の報告を行ない,あわせて若干の文献的考察をこころみた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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