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研究と報告
分裂病家族への接近—並行面接から同席面接へ(その1)
著者: 三浦岱栄1 小此木啓吾1 河合洋1 岩崎徹也1 北田穰之介1 鈴木寿治2
所属機関: 1慶応大学医学部神経科 2武田病院
ページ範囲:P.867 - P.872
文献購入ページに移動精神医学にとつて,家族研究が重要な課題になつてきたことは周知のとおりである。歴史的にまず児童精神医学の領域に始まつたこのこころみは,近年分裂病の治療と精神病理の解明に大きな役割をはたすようになつた。そして最近は,わが国でも分裂病の家族研究のかたちで精神医学者が家族研究を行なう勁きが活発になつているが,その方法論をめぐつて,精神医学の立場からつぎのような問題をあげることができる。
1)家族研究は,それが精神医学的な家族研究である以上,あくまで精神医学的な病態(psychopathology)の治療と研究を目標にして出発している。この場合の病態とは,患者の場合(Ackerman1)のいわゆるprimary patientのpsychopathology),家族全体(family as a whole)の場合(Ackermanのいわゆるsocial psychopathology)もあろう。いずれにせよこの病態の治療と研究を離れた,単なる客観的な家族研究は,社会学者にまかせておけばよい。
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