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研究と報告
精神病院における音楽療法の経験と技術的な二,三の考察
著者: 西形雄次郎1 深沢文彦2
所属機関: 1前橋積善会厩橋病院 2群馬大学医学部精神医学教室
ページ範囲:P.907 - P.912
文献購入ページに移動声をあげて歌をうたいたくなることは,誰にでもある。そして,このような人々が集まつたときに,声をそろえて歌声が起こることは,よくあることである。また逆にみんなでうたうことによつて,その場に共通なある雰囲気をつくり出すこともできるのである。
しかしわれわれの精神病院では,いずれの場合も歌声は少ない。むろん,作業をしながら歌ともつかない鼻歌をうたつていたり,病室のテレビにふと声を合わせていたりする人を見るときもあり,時には高歌放吟しながら徘徊する人を見受けることもある。しかしそれとても数は少ない。また茶話会や,四季の演芸会などに,たれかののど自慢があつても手拍子はすぐには起こらず,まるで無関心であるかのように,出された菓子を食べている。これは深い意味をもつ事柄であり,これには疾患の本質と精神病院環境のありかたの両方がかかわつている。
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