文献詳細
研究と報告
PZ 1511の精神分裂病に対する使用経験
著者: 山口昭平1 室伏君士1 鎌田祐子1 高橋俊哉1 間島竹二郎1 小河原竜太郎1 三橋康夫1
所属機関: 1順天堂大学医学部精神神経科
ページ範囲:P.919 - P.927
文献概要
1952年,Delay, J. らによつてphenothiazine誘導体を初めとし,種々の向精神薬が開発され精神科領域の治療に導入されて以来,薬物療法が内囚性精神病に対して大きな治療効果をおさめていることは,よく知られている。しかし,精神分裂病,とくに陳旧性病像のものや欠陥分裂病に対する薬物療法の効果については十分なものは少なく,かれらをしてすすんで作業療法やレクリエーション療法に積極的に有効に参加させ,または社会生活面における活動におもむかしめるためには,各種の向精神薬をもつとしても十分な成果をあげているということはできない。
吉富製薬K. Kの開発した新薬PZ 1511は,これらの陳旧性の分裂病像に対し興味ある若干の知見を示しているので,その治療効果を見るという見地よりも,興味ある病像の変化に着目してわれわれの経験を報告する。PZ 1511の構造式は第1図のごとく抗うつ剤imipramineの核にDipiperone側鎖をもち,その薬理学的作用はほぼimipramine様の作用を有し,その毒性は弱いといわれている。
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