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雑誌詳細

文献概要

研究と報告

精神科領域におけるMH 532(Spantol)の使用経験

著者: 大熊文男1 高室昌一郎1 後藤彰夫1 佐々木司郎1 石川鉄男1 荒川直人1

所属機関: 1国立国府台病院精神科

ページ範囲:P.1003 - P.1008

I.緒言
 1950年Bergerの研究室でLudwigとPiechによつて合成されたmeprobamateは,2-methyl-2-n-propyl-propandiol-1,3のヂカルバミン酸エステルであり(第1図),理論的には,barbitalの分解した構造である抗てんかん剤Prenderolの置換体とも考えられ,強力な筋弛緩剤Mephenesinとも近縁な構造である1)。meprobamateが筋弛緩作用と同時に,抗けいれん作用と鎮静作用を有することはこの点からも理解できる。このmeprobamateと類似の構造をもつ精神安定剤としてはTolseram(3-O-toloxy-1,2-propandiol-carbamate),Nostin(2-ethyl-ciscrotonylcarbamate),emylcamate(1-ethyl-1-methylpropylcarbamate)などがあり,emylcamateについては正橋ら2)の報告が見られる。ところで,Surberら3)はaralkylalcoholのカルバミン酸エステルの系統的研究中,1957年に強力な中枢性筋弛緩作用を有する物質MH532(Proformiphen,Spantol)を発見している。本剤はmeprobamateと同じく筋弛緩作用のほか,抗けいれん作用や適度の鎮静作用を有し,自律神経系に影響をおよぼすことなく精神調節作用を現わすことが知られているが,さらに特異な点は,phenylbutazoneに匹敵する抗炎症作用および解熱・鎮痛作用を有する4)ことであろう。

掲載雑誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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