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文献詳細

雑誌文献

精神医学7巻2号

1965年02月発行

研究と報告

森田療法とその今後のありかた

著者: 藤田千尋1

所属機関: 1東京慈恵会医科大学神経科教室

ページ範囲:P.129 - P.136

文献概要

I.はじめに
 一般に精神療法とは心理的手続きによつて被治療者の人格になんらかの影響を与え治療しようとする一連の経過過程を指すもので,その過程には治療者と被治療者との間に特殊な人間関係がもたれ,その行為の終局には療法の目標とする人間像への接近が期待される。このような一連の過程は精神療法を狭義に限定した場合にのみ適応されるものであろうか。精神科臨床の場ではkörperlisch-seelisches Hausを治療対象とするというより,そのder Herrつまり人間を対象とするのであるから,被治療者との特殊な人間関係を考慮しないわけにはいかなくなる。ここに狭義の精神療法はもとより,その他の臨床場面でも治療の基本になるものは精神療法的手続きであるという考えかたが成り立つのではなかろうか。
 したがつて,臨床にたずさわる精神科医は,少なくとも各自の精神療法理念を保持しなければならないはずである。この臨床医としての当然な態度をふまえたうえで,治療の場でわれわれが実際に行なう森田療法の現状と今後のありかたについて考えてみたい。このことは精神療法の第一の目的である治癒ということはもちろんのこと,さらには人間理解ということを考える契機ともなり,ひいてはこれが精神病理学への寄与ともなると考えるからである。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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