文献詳細
文献概要
特集 精神分裂病の“治癒”とは何か 第1回日本精神病理・精神療法学会シンポジウム
精神分裂病の社会的治癒について
著者: 竹村堅次1
所属機関: 1昭和大学付属烏山病院
ページ範囲:P.217 - P.222
文献購入ページに移動I.序言
近年,社会復帰医学の進展に伴い,分裂病の治療体系が確立されつつあるが,これまで治癒困難とされていたいわゆる疾患過程性の分裂病も,リハビリテーション,アフタケアの観点からはあらためて治癒の可能性が論じられるようになつた。私はこの意味で病院精神医学の立場から,主として分裂病の社会的治癒について述べることにする。
内因性精神病としての分裂病にも,元来一部に疾患過程の停止や自然治癒のあることは知られているが,一般に治癒の概念は精神医学的にまだ十分に解明されたとはいいがたい。しかし,これを社会的治癒の観点から一応定義づけるならば,つぎのような簡単で常識的な三つの項目に分けられる。すなわち,「疾病の慢性経過に対し長期にわたる医療をほどこしたのち,①自ら働いて経済的に自立し,②家族および他人との対人関係がほぼ円滑に維持され,③一定の個人的生活を楽しむことができる状態」といえるであろう。ただし狭義の精神症状を欠くことが必要条件である。
近年,社会復帰医学の進展に伴い,分裂病の治療体系が確立されつつあるが,これまで治癒困難とされていたいわゆる疾患過程性の分裂病も,リハビリテーション,アフタケアの観点からはあらためて治癒の可能性が論じられるようになつた。私はこの意味で病院精神医学の立場から,主として分裂病の社会的治癒について述べることにする。
内因性精神病としての分裂病にも,元来一部に疾患過程の停止や自然治癒のあることは知られているが,一般に治癒の概念は精神医学的にまだ十分に解明されたとはいいがたい。しかし,これを社会的治癒の観点から一応定義づけるならば,つぎのような簡単で常識的な三つの項目に分けられる。すなわち,「疾病の慢性経過に対し長期にわたる医療をほどこしたのち,①自ら働いて経済的に自立し,②家族および他人との対人関係がほぼ円滑に維持され,③一定の個人的生活を楽しむことができる状態」といえるであろう。ただし狭義の精神症状を欠くことが必要条件である。
掲載誌情報