文献詳細
研究と報告
Desipramine(Pertofran)の臨床使用経験
著者: 金子仁郎1 谷向弘1 武貞昌志1
所属機関: 1大阪大学医学部精神神経科学教室
ページ範囲:P.265 - P.270
文献概要
すなわち,うつ病像を呈した患者の61%に著効を,23%に有効を,合わせて84%に有効以上の効果を認めた。効果の発現はimipramineに比しかなり速やかで,32%が1週間以内に,62%が2週間以内に反応しはじめ,効果発現に4週間以上かかつた症例はなかつた。
本剤によつてもつとも影響を受けやすい精神症状は,意志思考抑制にもとづく諸症状で,とくに能動性減退を改善する作用が強く,これを主症状とする精神分裂病および類縁疾患にも好影響を与えた。
副作用の出現頻度はかなり高いが,重篤なものはなく,本剤での治療に支障をぎたすことはほとんどない。
以上,desipramineはうつ病像,とくに意志思考抑制面の症状に対して有効な薬剤であつて,imipramineに比し効果発現が速やかである点においてとくにすぐれているといえると思われる。
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