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文献詳細

雑誌文献

精神医学7巻3号

1965年03月発行

文献概要

研究と報告

Desmethylimipramine(pertofran)の使用経験

著者: 藤井健次郎1 入江是清1 金子耕三1 山本英子1

所属機関: 1東邦大学医学部精神神経科教室

ページ範囲:P.273 - P.278

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I.まえがき
 向精神薬の進歩はめざましく,続々と薬物が発見され,使用されているが,そのなかで現在使用されている抗うつ剤は2群に大別することができる。一つはフェノチアジン系化合物に類似した構造をもつimipramine,amitriptyline,chlorprothixeneなど一連の薬物で,もう一つの種類はモノアミンオキシダーゼ酸化酵素阻害剤でiproniazid,pheniprazine,isocarboxazide,nialamide,phenelzineなどの薬物である。この薬物は生化学的性質が明らかで向精神作用のうえで興味がもてるのであるが肝障害の危険性があるため,現在その使用は少なくなり,フェノチアジン系化合物に類似の系統が,多く使用されるようになつている。ここに報告するdesmethylimipramineもそれで,化学名は5-(-methylamino-propyl)-iminodibenezyl-hydrochloridである。構造式は第1図のとおりである。それから明らかなようにiminodibenezylの誘導体でありimipramineの側鎖のメチル基(CH3)がHになつたものである。
 Desmethylimipramineは1959年imipramineの代謝産物としてHerrmann, B. ら1)によつて同定された。薬理学的研究ではimipramineと類似した結果が認められたところから母体物質であるimipramineの抗うつ作用も脳内においてその活性代謝産物desmethylimipramineにより発揮されるのではないかと考えられた。しかしimipramineの抗うつ作用がすべてその代謝産物の結果であるとする説は現在まだ仮説の域を出ていないようである。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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