文献詳細
研究と報告
分裂病多発家系における双生児分裂病の症例について
著者: 柴田洋子1 矢吹賀江1 佐々木道子1 金子耕三1 入江是清1
所属機関: 1東邦大学精神神経科教室
ページ範囲:P.317 - P.321
文献概要
分裂病における双生児研究はLuxenburger1)3)4)以来多くの報告があり,その一面は遺伝的規定性に関するものであるが,他の一面として発病もしくは病像の差異に着目した環境要因への考察もまた重要である。発病機制に関してこれら二つの面の相互作用が理論的には考えられるのであるが,具体例において両方の作用点を境界づけることはきわめて困難であることはいうまでもない。とくに,一卵性双生児が一致して発病した場合でも,すべてを遺伝に帰することができないことは,すでにKallmann2)が明察したところであるが,私どももこの点について考えさせられる症例に遭遇したので報告したい。さらに,本症例における2人は共生的傾向が強く,folie gémellaireについつも考察する。
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