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研究と報告
米国における日本留学生の生活適応—精神医学的立場よりの考察
著者: 稲永和豊1 土屋直裕1 長谷川和夫2 近藤喬一2
所属機関: 1久留米大学医学部精神神経科学教室 2慈恵会医科大学精神神経科教室
ページ範囲:P.413 - P.418
文献購入ページに移動われわれは,自ら留学生としてあるいは旅行者として,海外生活を数年,もしくは数カ月体験してきたが,その間に起こつた自らの精神的変化,および知り合つた多くの留学生,あるいは海外勤務者の観察から,日本人の海外における生活適応の問題を精神医学の立場からとりあげることは,きわめて興味深いことであると考えるにいたつた。国際間の人間の交流がますますさかんになりつつあるこんにち,異なつた文化社会に人間がおかれた場合,どのような適応困難が起こつてくるかを予測することは精神衛生上重要な問題である。米国においてもこの問題に関心をもつ人々が民間人にも,また精神科医にもあることを知つた。
しかしながらこの研究課題をとりあげるにあたつては,研究の方法において多くの困難に遭遇する。とくに海外において適応困難におちいつた人人の症例研究を行なうためには,現地において直接に面接を行なう必要がある。しかし実際には,いつ,どこで,誰が発病するかわからないのに,長期間現地において発病者を待つということはできない。またすでに海外生活中に適応困難におちいつた人々を調査するという方法をも考えてみたが,プライバシーの問題とからんで容易でないこともわかつた。しかし将来はこのような現地調査(field study)も行なうこととして,さしあたつてすでに海外留学,あるいは海外勤務の経験のある人々に対して,アンケート方式によつて調査を行ない,いくつかの問題点を明らかにしようと企てた。
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