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研究と報告
精神科領域におけるdiazepam(Horizon)の使用経験
著者: 小柳新策1 稲月作之助1 増村幹夫1 田宮崇1
所属機関: 1新潟大学医学部精神神経学教室
ページ範囲:P.467 - P.471
文献購入ページに移動神経症治療の薬物的な面は,スイスのロッシュ研究所で,chlordiazepoxideが開発され,そのとくに不安・緊張状態,心気的状態,抑うつ気分に対する優れた臨床効果が一般に認められるにおよび1)〜6),飛躍的な発展がみられた。そしてそれまで用いられて来たMAO-抑制剤,メプロバメート,バルビツレート,クロールプロマジンなどに代わり,chlordiazepoxideが神経症治療の主役を演ずるにいたり,今日におよんでいることは,周知の事実である。
最近,同研究所でふたたびchlordiazepoxideに類似の構造を有するdiazepam(7-chloro-1,3-dihydro-1-methyl-5-phenyl-2H-1,4-benzcdiazepin-2-one)が合成された(第1図)。薬理学的には,Randallら7)のマウスによる実験では,LD50は経口投与で720mg/kg(chlordiazepoxideは620mg/kg)であり,筋弛緩作用は傾板法で,また鎮静作用はfighting miceの馴化作用で,chlordiazepoxideのの約5倍,電気ショック,メトラゾール,ストリキニンに対する抗痙攣作用は,5〜10倍の効果を有している。臨床的には,不安緊張状態に対し少量で速効性が期待され,またFeldman8)も指摘しているように,抑うつ気分,分裂症等にも効果が期待される。
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