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特集 呉秀三先生の生誕100年を記念して 一般演題
クロノローギッシュに見た精神医学史における呉秀三の位置,他
著者: 近藤宗一
所属機関:
ページ範囲:P.497 - P.508
文献購入ページに移動 呉先生はこの時代(第1図重線部分)にHocheやSommerとは同年,Liepmann,Alzheimer,Adolf Meyer,Simon,Bonhoefferなどともごくわずかの年齢の差で生きられ,わが国の精神医学の黎明期を指導された。以降その歴史は50年,ヨーロッパの近代精神医学のそれはおよそ2倍と計算され,そこに彼我学問のハンディキャップがあるといわれる。しかしそのハンディキャップとは,具体的にどのような内容であつたのだろう。実をいうと,呉先生が学ばれた当時のドイツの学問水準も,そうたいしたものではなかつた。
たしかにそのあたり(重線部分)でGriesinger(1817-1868)の脳病論が,Krafft-Ebing(1840-1902)やSchüle(1840-1916)の教科書,Wernicke(1848-1902)のGrundriss(1894)などによつて臨床体系の一応の完結された姿を見せる。しかしそれはあくまでも脳病論的方法の限界においてであり,それ以前の「Anstaltでの精神医学」を克復したと信ずる新しい学問思潮の満潮時としてである。干満はやがてくりかえされる。
たしかにそのあたり(重線部分)でGriesinger(1817-1868)の脳病論が,Krafft-Ebing(1840-1902)やSchüle(1840-1916)の教科書,Wernicke(1848-1902)のGrundriss(1894)などによつて臨床体系の一応の完結された姿を見せる。しかしそれはあくまでも脳病論的方法の限界においてであり,それ以前の「Anstaltでの精神医学」を克復したと信ずる新しい学問思潮の満潮時としてである。干満はやがてくりかえされる。
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