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研究と報告
抑うつ状態に対するdesmethylimipramine(Pertofran)の臨床経験
著者: 黒丸正四郎1 岩本信一1 花田雅憲1 笠井勉1
所属機関: 1神戸医大精神科
ページ範囲:P.563 - P.567
文献購入ページに移動うつ病ならびにその他疾患の抑うつ状態に対して,近年各種phenothiazine誘導体やreserpinまたMAO抑制剤が使用され,うつ病に対する薬物療法の可能性がいちじるしく拡大されたことはすでに周知のとおりである。
しかしその後これら各種薬剤についての臨床知見が豊富になるにつれて,薬物療法に伴う種々の副作用も知られてきた。たとえば,phenothiazine誘導体は抑制症状に対して効果が乏しく,かえつてoversedationを起こし,またMAO抑制剤は長期連用にさいして時に重篤な肝障害や視神経萎縮を起こすことなどであつて,うつ病のごとき長期の病期を有する疾患では連用に多少の躊躇を感じる。したがつて今後のうつ病治癒において,従来の抗うつ剤とは化学構造のまつたく異なるimipramineおよびその誘導体に多くの期待がかけられる。しかるにimipramineは往々効果発現が遅延し,危急の場合多少焦躁の感なしとしない。このときにあたりわれわれはimipramineに加えて,さらにその誘導体であるdesmethylimipramine(Pertofran)を使用する機会をえたので,その臨床経験の概要を以下に記述する。
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