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文献詳細

雑誌文献

精神医学7巻8号

1965年08月発行

文献概要

研究と報告

ある分裂病少女に見られた唾の変容—分裂病者におけるLeibの病態(1)

著者: 小見山実1

所属機関: 1東京医科歯科大学神経精神医学教室

ページ範囲:P.685 - P.690

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 I.
 分裂病者において病的現象はさまざまな現われかたをする。たとえば患者が「唾を吐くこと」もその一つの現象といえる。これは注意して見れば日常の臨床でかなり観察されるものであるが,多くは無意味なこととして見すごされてしまう。また文献上でもこの問題をとりあげたものはほとんど見あたらない。筆者の知るかぎりでは,Sullivan5)が唾を口内にためている,ある分裂病患者を記載し,短い推論を加えている。たまたま筆者は唾に特異な体験を呈した,ある分裂病の少女を観察する機会をえたので,ここで分裂病者に出現する唾の現象を論じたいと思う。おもにこの症例を中心にして考察を進めるが,そのさい分裂病者におけるLeibの問題にたちいらざるをえない。
 分裂性現象としての「声」や「まなざし」の問題はこれまでかなり論じられている。ところで分裂病者には,そのほかにもさまざまなLeibの現象が現われるが,従来あまりかえりみられていない。しかしそれは見逃がしであつたかに思える。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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