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研究と報告
てんかん患者の結婚について
著者: 野村章恒1 柄沢昭秀1 松村幸司1 篠崎治郎1
所属機関: 1慈恵医大精神神経科教室
ページ範囲:P.705 - P.711
文献購入ページに移動(1)一応の生活能力がたもたれ,反社会的行為を伴わぬこと,すなわち一般社会生活適応能力があるということが結婚生活にも基本条件であるといえる。男性ではこの基本条件が満たされていれば,発作抑制などに不十分な点があつても結婚生活に大きな障害をもたらさないが,女性ではさらに疾患に対する周囲の無理解が時として障害の原因となるのが現状である。しかし,全体として見れば対象の8〜9割がとくに重大な困難もなく結婚生活を維持している。
(2)結婚したてんかん患者の半数以上は結婚後もとくに症状の変化を見ない。男性では結婚後発作頻度が軽度に増加したものが約2割に認められ女性ではやや多いが,その大部分は妊娠分娩に伴う悪化である。性行為が直接悪影響をおよぼしたと認められる例はなかつた。一方発作の減少,性格面の改善を見た例も少数だが認められた。
(3)妊娠の影響を受けるのはおもに結婚前発病群で発作の再燃悪化というかたちをとり,一方分娩は結婚後発病群の女性における発作初発の誘因として注目される。
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