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文献詳細

雑誌文献

精神医学7巻8号

1965年08月発行

文献概要

研究と報告

甲状腺剤含有の“やせ薬”の連用による精神障害

著者: 原田正純1 上妻由紀子1 三好公明1

所属機関: 1熊本大学医学部神経精神医学教室

ページ範囲:P.712 - P.716

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 (1)甲状腺剤含有“やせ薬”連用によつて起こったと考えられる精神障害例3例を経験した。患者はすべて女性で,24歳から35歳であつた。やせ薬の服用は1日2〜6〜8錠(Thyroid 40〜120〜160mg)で,やせるため,または便秘をなおすために用いられている。服用期間は6ヵ月から3年の長期にわたつている。
 (2)“やせ薬”の服用中には,頭痛・めまい・耳鳴・不眠などの症状が見られる。服用を中止して後に,精神症状および軽度の粘液水腫様症状が現われた。基本的の精神症状としては,第1例・第2例は分裂病様状態を,第3例はうつ状態を示した。3例に共通した症状として,離人症その他の自我障害症状,不安・焦躁状,一方的でききわけがなく・あまえ・依存的で子どもつぽく未熟な精神状態などが認められた。
 (3)症状は慢性の経過をとり,薬物中止後1年から1年7ヵ月も継続している。
 (4)向精神薬物では十分な治療効果は期待できない。甲状腺剤で症状は消褪するが,投与量・方法・投与期間などについては慎重な考慮をはらわなければ症状を悪化させる可能性がある。第1例では電撃療法が著効をおさめた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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