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文献詳細

雑誌文献

精神医学7巻8号

1965年08月発行

文献概要

研究と報告

抑うつ状態に対する7162 R. P.(Surmontil)の臨床治験

著者: 野村章恒1 遠藤四郎1 清水信1 佐々木三男1 与良健2

所属機関: 1東京慈愚会医科大学神経科教室 2芳生会保土ケ谷病院

ページ範囲:P.727 - P.731

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I.緒言
 内因性うつ病・反応性うつ病などの抑うつ状態に対する薬物療法としては,過去に阿片療法,臭素剤および持続睡眠療法が用いられていた。しかし,chlorpromazineに始まる一連のphenothiazine系向精神薬の出現により,抑うつ状態に対する薬物療法もしだいに変遷し,chlorpromazine,levomepromazineの静穏化・催眠作用を応用したりperphenazineの運動促進作用を応用したりする方法がとられたが,いずれも対症的な効果の域を出なかつた。ついで中枢刺激剤,MAO阻害剤などが一時話題となつたが,精神賦活作用や感情の多幸化は早期にえられても,反面,焦躁・苦悶感や不眠の増強が認められ,さらに重篤な肝障害を惹起する症例も出るにおよんで,現在は一般に用いられることも少ないようすである。
 抑うつ状態に対する薬物療法が画期的に進歩したのは,iminodibenzyl誘導体であるimipramine(Tofranil)が出現して以来であろう。imipramineによつて,これまでなにかと問題はありながら,なお,抑うつ状態の治療に枢要な位置を占めていた電撃療法が,ようやく薬物療法におきかえられたといえよう。そしてThymolepticumまたはAntidepressantという名称が一般に使われるようになつた。現在,わが国ではimipramine(Tofranil),amitriptyline(Tryptanol)が用いられている。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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