文献詳細
文献概要
資料 沖縄の精神衛生
沖縄の精神衛生事情
著者: 鈴木淳12
所属機関: 1国立下総療養所 2厚生省病院管理研究所
ページ範囲:P.740 - P.747
文献購入ページに移動沖縄は珊瑚礁に囲まれた大小140あまりの島々からなり,鹿児島から弓状の弧をなして,台湾にのびている。戦前は沖縄県として統治されていたが,現在,北緯27゜線以南が米軍によつて支配されている。亜熱帯に属するこの地方の年間平均気温は22.1℃で,モクマオウ,ソテツ,デイゴ,ガジュマルが見られ,パインアップルやバナナがみのる土地である。
だが,その歴史はさまよえる悲劇の連続であつた。あるときは島津から,あるときには明や清から圧力が加えられ,島内はつねに二派に分かれて相争い,明治になつても皇恩うすく,ハワイや南米移民が唯一の希望の光であつた。
20年前,戦禍は一樹の影すら失わさせるほど熾烈をきわめた。白百合の悲劇は動員女子学生ばかりでなく,全島民おのおのの身近かなありふれた事件であつた。
私は昭和39年度沖縄医療援助第1回派遣専門医として6カ月間滞在し,精神障害者の診療業務に従事した。その間に経験し,見聞したことや,えられた資料を基礎として,沖縄の精神病院や精神衛生の現状について卑見をまとめてみた。
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